光と灯りを
考える

chapter

04

灯り探検

ここでは、少し気分を変えて実際に日本で見られる灯りを見てみましょう。 日本の中でも、屈指の伝統を誇る京都では、今も優れた灯り文化の残る光景を目にすることができます。

1.祇園

京都市内でも屈指の観光客数を誇る祇園エリア。 観光中心地らしく、街全体の灯り計画も隅々までこだわり、 ただキレイなだけでなく「風情」までもがしっかりと街に計画されているように思います。 京都市内中心地での「風情」の計画は全国の中でも類い稀な質と完成度を誇るのではないでしょうか。 そもそも「風情」というもの自体が三日三晩で簡単に出来上がるものでもなく、 その土地に根付いてきた文化や風土が生み出す空気感、目に見えるものも見えないものも全て含めての「風情」。 古来から続く歴史ある街並みを今に残すのは並大抵の努力で成し得ることではないと思います。 灯りの力で街全体がデザインされている祇園の夜景を元に、それぞれの灯り効果を一つずつ見ていきましょう。

-四条通-

四条通は、主に観光客向けの土産物屋が多く立ち並び、店自体の照明計画としては、全体的に明るめで、商品にはスポットで光をあてるなど、わかりやすく比較的整った印象を受けます。その中でも光の色温度や、天井、壁、床などの照明のバランスの取り方などによって、各店舗それぞれの色が演じ分けられています。こちらは、どちらかというと店舗の商品ディスプレイに京都らしさを加えた、商業的風情のデザインとでも言えますでしょうか。笑

天井の照明がのれんによって隠されていているのが面白いです。

一方、四条通そのものの照明計画を見ると、店の前の歩道には天井から吊るされた白色の看板照明が整然と並んでいるだけで、少し冷たく感じられます。観光客がたくさん集まる場所なので、もう少し暖かみと活気ある商店街にするために、設置する照明の色温度や、配置について、見直す余地はあるかもしれません。

四条通の様子

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